第3章  施工準備
3. 1 一般事項と作業管理
 作業に当っては、直接施工する者の技能力量が施工品質を大きく左右するため、作業する者の中から適切な作業責任者を選び、施工環境を整備し施工要領書にしたがい、下地の確認、施工個所の順序、割り付け図の作成および割り付け、材料の確認、施工、安全衛生等の作業を確実に行うことが大切である。
3. 1. 1 作業の流れ
 規模の大きい(大型)現場の作業にあっては、表3-1の作業の流れ等を参考に、個々の作業工程がチェックされるべきである。
           
       

表3−1 作業の流れ(画面クリックで拡大図)

 
3. 1. 2 作業の管理
1 施工現場の環境を事前に整備する。(室温、採光、換気等)
2 工程計画をつくり、作業の配置、必要材料の搬入、点検を行う。
3 塗装、壁装、天井、設備等の関連工事との連絡を密にし、円滑な工事の推進を図る。
4 その他、施工に関し協議を要する事項は、監督者の指示を受ける。
3. 1. 3 下地の確認
 施工前には、必ず次の各項目について施工現場の状況をよく確認する。確認を怠ったり、施工直前の確認は、もしも不備があったときの対応策がなく、そのまま施工をすると取り返しのつかないクレームになる。
           
      (1) 乾 燥  
 下地の乾燥が十分でないと、製品や部材をいためるだけでなく、カビや臭い等二次的な問題も起こることがあるので、できるだけ乾燥期間をとる必要がある。
 地下水が上昇する恐れのある下地および階下の部屋では、出る湿気がスラブを通して結露する下地に対しては、防湿層 (注1) を設ける必要があるので、その有無を確認する。
 下地の乾燥度を測定するには、モルタル水分計(誘電率水分計)電気抵抗計がある (注2-4)。
(注1)  防湿層 防湿層とは割栗の上に敷き並べるポリエチレンフィルム等厚さ0.15mm以上、重ね合わせ縦、横250mm以上としたもの。
(注2)  モルタル水分計 モルタル水分計で測定し、測定値が8%以下が理想とされているが、測定深度は30mm程度が限度で、深部の水分は測定できない。
(注3)  電気抵抗計 電気抵抗計は、下地面の任意の箇所に1m間隔に直径6〜8mm、深さ30mmの穴を2箇所あけ、その中に黒鉛の粉末を充てんし、この穴に測定器の極を差し込み数値を読み取って、値が300Ω(オーム)以上が理想とされている。
(注4)  簡易測定 簡単な方法として、下地面に1m角程度のポリエチレンシートを敷き、周囲を粘着テープで張り、12時間程度放置してから剥がし、床シート裏面の結露状態と下地面の周囲との色差により湿気の状態を判断する方法がある。
         
      (2) 平滑度  
 床仕上施工では、下地の平滑度がその後の仕上げの良し悪しに大きく影響する。現実には見誤ることが多いので、充分確認する必要がある。
 特にコンクリート下地、モルタル下地においては、一見平滑に見えても実際に施工してみると、仕上表面に下地の不陸、こてむらがそのまま表れてくることがよく見受けられる。
<対 策>
1 軽度のこてむら
鋭利なケレン棒またはベルトサンダー等で軽くケレンがけ、研磨をし、削りかすを掃除機や、湿したオガクズを撒きよく粉体を除去する。
2 大きな突起
グラインダー、ハツリ等で削り取り、清掃後下地補修剤を薄く塗布して平滑にする。
3 穴、窪み
補修箇所をよく清掃、硬練りの下地補修剤を充てんして平滑にする。
4 クラック
細いクラックの場合は、クラック部を最小限のV字溝にカットし、よく清掃してから下地補修剤を充てんし平滑にする。
構造クラックの場合は、クラック部を大きめにV字にカットし、よく清掃してからバッキング材を詰め、エポキシ系注入剤を注入し平滑にする。
           
(3) 強 度
1 コンクリート下地、モルタル下地
打設直後の強風、夏季の急激な乾燥、水とセメントの混合比の違い、冬期における凍結等による粉ふき、ざらめ等の脆弱な下地には、浸透性のある下地補強剤を塗布して補強をする。
ただし、この処理方法はあくまで表面のみが脆弱のときの対処法であって、その欠陥度合がはなはだしい場合は、監督者に相談して下地の打ち直しを依頼する。
2 木造床
根太間隔のとりすぎ、および二重張り床の下張り板、上張りまたは、合板張り床の厚さ不足等によりたわみがあるときは、監督者に相談して補強、造り替えを依頼する。
(注) ・根太間隔 300、 360、 450mm
・二重床張り床の下張り板厚さ 15mm以下
・合板張り床厚さ12mm
3 鋼板床
継目溶接の不備、厚さ不足等によるたわみ、振動のある場合および取り付けネジ、溶接余盛りのある場合は、監督者に処理を依頼する
(4) 目違い、浮き
1 コンクリート下地、モルタル下地
金槌等で叩いて浮いているような音がする場合は、エポキシ系の注入剤を注入して浮きを固定する。ただし、床の全面が浮いている場合は、モルタルの塗り直しを監督者に処理を依頼する。
2 木造床
木造床で合板の目違いの部分は、サンダーがけなどで平滑にし、釘止めの不足による浮きは、補強釘を打つ。また、釘頭の飛び出しは、板面より沈む程度に打ち込む。
(5) 付 着 物
1 コンクリート下地、モルタル下地
床表面に付着したモルタル滓および突起物は、完全にケレンがけを行い入念に清掃する。
油脂類が付着している場合は、溶剤を用いて拭き取るか、中性洗剤で洗い落とす。また、油脂類が下地に深く浸み込んでいる場合は、その部分をハツリとり新しく下地の打ち直しを依頼する。
2 鋼板床
鋼板表面に付着している錆、モルタル滓等は、完全にサンダー等で削り取る。また、表面に塗布してある防錆塗料がエポキシ、ウレタン系の塗料であるかを確認し、もし普通防錆塗料(鉛丹等)を塗布してる場合は削り取り、塗り直しを依頼する。
(6) 取り合い部
 開閉部の扉下地の床高を点検し、扉がつかえるような場合は、サンダー等を用いて手直しをする。また、配管、設備機器等との取り合いに支障がある場合は、監督者の指示を受け適切な処置をする。
(7) 既存床
 ビニル床タイル、ビニル床シート、プラスチック系塗り床等の既存床を下地とする場合は、剥離、破損等の有無を調べ、それぞれ捨て張りまたは下地補修剤で平滑にする。
(8) 二重床(フリーアクセスフロア)
 脚長が調整できるタイプは、隣接する二重床同士が平滑か、また下地全体に水平が保たれているか確認する。簡易床置き型も同様に平滑かどうか確認する。万一、平滑でない場合、原因が下地か置き床か確認する。