10.2 カーペットの取り扱いと手入れ  
           
     カーペットは、敷物として日々厳しい使用に耐えうるよう丈夫につくられているが、取り扱いと手入れが適当でなければ、その機能を十分に発揮することができず、せっかくの寿命を短くしてしまうので、次のようなことに注意する必要がある。  
           
      (1)毛羽(遊び毛)  
           
         カーペットは、特にパイルの長いものほど、力を入れて掃くと毛羽が出る。これは、パイル糸が抜けたり、切れたりするのではなく、糸の中の「遊び毛」が残っているためである。
 「遊び毛」は、パイルを構成している繊維のごくわずかな部分で、カーペットの物性及び耐久性に影響を与えるものではない。
 購入した当初は、多く出るかも知れないが、徐々に減っていき、気にならなくなってくる。
 
           
      (2)パイルの飛び出し  
           
         パイルが飛び出したときは、鋏で切り取り、毛の長さを揃える。  
           
      (3)わなの毛が切れたとき  
           
 ループパイルカーペットでは、使用中に、ループが引っかかって切れたり、飛び出すことがある。あまり目立たないところであれば、高さを揃えて切り取る。
(4)くも現象
 カットパイルカーペットで、カーペットの一部が光の入射や見る方向によって、ある所は明るく、反対側からは暗く見え、色斑になっているように見えることがある。これは、部分的にパイル糸の流れ(毛並)の方向が、全体の流れの方向と変わってしまったために起こる現象で、その形状が雲の形に似ている。
 また、水をこぼした跡や水たまりのように見えることから"ウォーターマーク"あるいは、影のように色が変わって見えることから"シェイディング"とも呼ばれている。
 このくもは、歩行量の激しい部分だけに現れるのでなく、足を全く踏み入れない場所にも現れる。
 家庭で施工された場合も、ホテル・会館等の業務用に使用された場合でも、同様に起こる。
 素材の種類に関係なく、タフトでもウィルトンでも緞通でも、またパイル糸重量の多いものも、少ないものも発生する。
 今のところ、このくもの原因は解明されておらず、一度発生したものは復元することも不可能である。いわば、このくも現象は、カットパイルの宿命であり、くもの発生しない製造方法というのは今のところはない。「くも」発生は商品の欠陥ではなく、自然現象として受け止めてもらえるよう「くも」について説明をする。場合によっては事前に説明し、どうしても困るという場合には、カットパイルを避け、ループあるいはフリーズ糸タイプ使いや、色・デザインの選択により目立ちにくくする方法もある。
(5)退(褪色)色
 カーペットは、どうしても直射日光で色がさめやすいので、部屋の窓にはカーテン、ブラインド等を使用して、直射日光をできるだけ避けるようにする。ごみや汚れ等が退色を早めることもあり、掃除と汚れの除去はまめにすることである。
(6)虫害
 わが国は湿気が多いので、毛製品が虫の害を受けることが多い。そのうち羊毛を食べる害虫は、衣蛾類と、甲虫類に大別される。
 日本では、衣蛾類は「いが」と「こいが」、甲虫類は「ひめかつおぶしむし」と「ひめまるかつおぶしむし」の4種が主なものである。
 家具の下など湿りやすいところのカーペットには害虫がつきやすい。
ときどき家具を移動させて、通風をよくし、できれば日光にあてる。
 虫害を防ぐには、「防虫加工済」マークのものを使用する。
(7)カビ
 カーペットと床を乾燥させるよう心がけて、カビを発生させないようにする。また、カーペットに発生したカビは、取り除いて清潔にする。
(8)汚れ
 汚れは、その使用場所によって差があるので、掃除回数を決めることはできない。
 中敷きやピース敷きは、大掃除のときカーペットの裏から籐か竹の棒で叩いて、砂、土、ごみ等を十分落とした後で表面を掃除する。汚れのひどい場合、または敷き詰めの場合は、カーペットが収縮する恐れもあり、専門のクリーニング業者に依頼する。
 また、少々の汚れやしみの除去は、ぬるま湯に合成洗剤(中性)を溶かして、汚れたところをきれいな布で拭き取る。この作業を繰り返して、最後にぬるま湯で仕上げ洗いをする。
 パイルのあるものは、あまり強くこすると、パイルが開いて色目が変わることがある。汚れ、しみ等を除去した後は、毛並の方向を揃えてから乾かすようにする。
 どんなときでも、汚れは手早く処理しないと、その部分が空気で酸化したり、紫外線で変化して、除去が困難になることがある。
(9)しみ抜き法
 以下に示す表は、家庭でもできる"しみ抜き法"だが、しみ抜きをする前に、次のようなことに注意しなければならない。
作業の前に使用する洗剤や溶剤を白い布(綿布が良い)に含ませて、カーペットの目立たない隅の部分をこすって、色落ちしないかどうか確かめる。万一、色落ちするときは、洗剤や溶剤の種類を替えるようにする。
処理前にカーペットについているごみや埃は、よく取り除くようにする。
しみ抜きは、周辺部から中心部に向って行う。
パイルカーペットは、パイルの方向を確かめて、その方向に沿って掃除する。
洗剤や溶剤は、少量ずつ使用する。大量にカーペットの上に散布すると、カーペットを痛めることもある。
表10-3 しみ抜き法
汗(あせ) 布をぬるま湯にしめして叩くようにして拭く。
アンモニア液で取る。
あめ(キャンデー類) お湯に洗剤をとかし、タオルで拭き取る。もし、跡が残っていたら、アルコールで軽く拭き取る。
アイスクリーム ティッシュペーパーで拭き、その後で洗剤を入れたぬるま湯で拭き取る。
油絵具 テレピン油でやわらかにしてから、白紙の上からアイロンをかけアルコールで拭く。
エナメル(塗料) 固くなっていたら、テレビン油でやわらかにし、シンナーで拭き取る。
お白粉(ファンデーションを含む) ティッシュペーパーで拭き、アルコールで拭き取る。
中性洗剤でも取れるものが多い。
カビ ブラシをかけてから、アルコールで拭き取る。
乾電池から出た汚れはいち早く酢で拭く。
牛乳(乳製品を含む) 布に湯を付けて軽くこすり、洗剤液で拭く。しみが残るようならアルコールで拭く。
口紅 アルコールでこすり取り、洗剤を入れたぬるま湯で拭き取る。
クレヨン、靴ズミ ひどい汚れは、アルコールを歯ブラシに付けて、叩くようにして取り、ぬるま湯で拭き取る。
クリーム(化粧用) 紙でよく拭き取ってから、アルコールでぬぐい洗剤を入れたぬるま湯で拭き取る。
ケチャップ 中性洗剤を含ませたタオルで拭き取り、水道水を含ませたタオルで拭き取る。
コーヒー(ココア、紅茶を含む) ぬるま湯を汚れの上にそそいで、吸取紙かタオルでそれを拭き取ってから、乾いた布で拭き取る。または、レモン片でこすり、酢で拭く。牛乳の入ったものは中性洗剤で拭き取る。
コーラ(サイダー類) 中性洗剤を含ませたタオルで拭き取り、水道水を含ませたタオルで拭き取る。
酒(ビール・洋酒も含む) 広がるのを防ぐため、こぼした上に塩をのせ、それを柔らかなブラシで掃き取り、スポンジに水を含ませて拭き取る。または、アルコールや洗剤を入れたぬるま湯で拭き取る。果汁入りは、カーペットクリーニング専門店に依頼する。
しょう油、ソース 中性洗剤を含ませたタオルで拭き取り、水道水を含ませたタオルで拭き取る。
ジヤム アルコールまたは温湯で洗い取り、中性洗剤を入れたぬるま湯で拭き取る。
水拭きで良い。
スープ 洗剤で絞ったタオルで拭く。
たばこの焦げ 焦げた部分を歯ブラシでブラッシングすると目立たなくなる。
温湯は使わないこと。ヘラ等で取り除き冷たい水を布につけて軽くこする。または大根のおろし汁をつけ、乾いたら水で拭き取る。跡が残ればベンジンを用いる。
チョコレート 紙で拭き、乾いてからブラシをかけ、それでも取れないものは水と消毒用アルコールを半々にしたものをつけて拭く。
チューインガム ドライアイスまたは氷で固めて取る。
泥(乾燥後) 柔らかなブラシで十分にブラッシングして中性洗剤をを入れたぬるま湯で汚れをしめし、ぬるま湯で拭き取る。
灯油 粉末の中性洗剤をかけて吸収させ、ブラシではらう。
自然に蒸発するので窓をあけて乾かす。
バター アルコールで拭く。
歯みがきクリーム 水で拭き取る。
ふん(犬・猫) すぐに塩水で拭き取り、5%アンモニア液で拭き、中性洗剤を入れたぬるま湯で拭き取る。柔らかいとき、塩や灰、クレンザー等、白い粉末をかけブラシで取る。その後で水で拭く。
マニキュア マニキュアの除光液で注意深くこすり取る。
みそ汁 水で拭き取る。
ラッカー(塗料) マニキュアの除光液かシンナーで拭く。
ワセリン アルコールで拭く。または灯油も有効。