第 2 章    繊  維
  1 繊維開発の歴史  
     
 人々の生活を営む上で重要な、衣、食、住。その中で重要な位置を占める繊維の使用は人類の歴史と共に始まったと考えられ、新石器時代初期の遺跡から麻織物が発見されている。さらに、紀元前数千年、ペルー、メキシコ、エジプトの遺跡でも紡織物が発見されている。
 羊が家畜として飼われたのは、1万年以上も前の新石器時代、また、紀元前2千年前に中国・黄帝の妃西陵は繭から細い糸を繰ることを発見し、養蚕製糸を教えたといわれる。殷の時代(紀元前約1100年)には綾が織られ、周の時代(556〜581年)には錦、綾の高級織物が織られ、シルクロードを通じて西域欧州にまで伝わった。
 綿の原産地インド、パンジャブ地方は2000年来、織技術の世界的源泉で、絣、モール、金更紗、嬬子織、草花の唐草模様などがあり、インダス流域文化が欧州や中国に影響を及ぼし、東南アジアに伝わってジャワ更紗やジャワ織となって発展した。
 ヨーロッパの絹織物は2世紀後半、コンスタンチノープルを中心にギリシャ、イタリア、スペインなどに広がった。
 ルネッサンス期に入ると、イギリスの毛織、イタリアの絹織、オランダ、フランスの壁掛けなどが台頭した。
 綿織物も十字軍やイスラム教徒によってヨーロッパに広がって行った。
 かつて高級織物は王侯貴族のものであったが、1760年から1840年にかけてイギリスで産業革命が起こり、それまでの自給自足の手工業から工場生産制へと変化、マニファクチュアによって多くの人々の衣服を供給できるようになったが、1786年に蒸気機関の改良による力織機は、19世紀初頭に一段と改良され、各工場に普及した。
 
1805年には、フランスのジャカードがさまざまな模様が表現できるジャガード式紋織機を発明し、
飛躍的に発展した。
1830年にフランス人B・ティモニエルが初めてミシンを作った。
1856年にイギリス人A・Wパーキンが化学染料の特許を取得、57年に「チリアンパープ」と命名して工場生産、次いで「モーブ」の商品名で売り出した。
1859年にはフランスで「マゼンタ」赤色染料が発明され、その後、アニリン染料が多数発見され、
今日に至っている。
 19世紀中期から多くの学者が美しい絹を人工的に作ることを研究し、20世紀初頭にはレーヨンが発明され生産された。その後、さまざまな研究が行われ、1935年にアメリカの企業がポリアミド「ポリマー66」の合成に成功、38年にこのポリアミド繊維を「ナイロン」と命名し、石炭と空気と水から人工的に作られ、クモの糸より細く、鉄のように強く、絹のように美しく光沢に富むポリアミド繊維をナイロンと命名した。
《 その他、主な化学繊維 》
1931年 フランスでポリ塩化ビニル繊維「ロービル」の製造に成功。
1936年 イギリスの企業がポリエチレン繊維を発明。
1937年 アメリカの企業が塩化ビニル・アクサワニトリル系繊維を発明、サランと命名。
1941年 イギリスの企業がポリエステル繊維の製造に成功、47年に特許権を取得。
1942年 アメリカの企業がポリアクリロニトリルの溶剤「Fiher・A」を発明、47年に「オーロンA」と
命名。
 日本国内では、イギリスの企業から日本国内の企業が特許権の分譲を受け、1953年には日産5トン、60年には日産30トンに増設し「テトロン」と命名して発売、今日に至っている。この間、意匠糸をはじめ機能目的に合った改良により、衣料、インテリア、産業資材、医療機械など多くの分野に利用されている。