3 カーテンに使われている繊維素材
天然繊維
1〕 植物繊維
綿
 プリントカーテンおよびドレープカーテンに多く使用されている。
 綿は丈夫で吸収性があり、ソフトで肌に優しく染色性に優れている。またドレープ性に優れ
ているが、しわになりやすく、洗濯には良いが収縮する性質があり、サンフォライズ加工など
で防縮加工されることが多い。ポリエステル繊維との混紡(TC混)によって寸法の安定性と防
しわの性質を付与した製品が出回っている。虫には抵抗性があり、耐熱性にも優れているが、
かびには侵されやすく若干の黄変の傾向がある。
 綿は一般に、長毛筋綿 (50〜120番手)、中毛筋綿 (13〜50番手)、短毛筋綿(13番手以下)
の3種類に区分されており、番手の数字が大きいほど糸は細く高級で、カーテンで使われる
綿糸の多くは中毛筋綿が使用されている。
 ケースメントおよびドレープカーテンに使用されている。麻は非常に丈夫で、耐水性が大きく、耐熱性にも優れている。また、しわになりやすく徐々に縮む傾向がある。吸収性、透湿性、
通気性にも優れ、さらっとした感覚がある。漂白しないと麻特有の匂いがする。
 熱湯、日光、石鹸、アイロン掛けに強く、変質はしないが、酸・アルカリにはあまり強くない。
また、単独ないしポリエステル、アクリル、レーヨンなどとの交織混紡糸などがカーテンに使
われている。

 

         
    2〕 動物繊維  
 カーペットには多く使われているが、カーテンではドレープカーテン、ケースメントなどに一部
使用されている程度。
 熱の伝導率が少なく、保温性に富み、バルキー性とふわっとした嵩高性があり、かなり丈夫
で吸湿性が大きく、濡れると若干弱くなるが乾くと元の強さに戻る。
 酸性染料に良く染まり、沈んだ温雅な光沢とウール特有のシックなカラーが特徴で、若干の
熱可塑性があるので、洗濯すると縮む。また虫に食われやすいので、保管には注意(防虫剤)
する必要がある。
 高価な繊維で、カーテンにはあまり使用されていないが、ホテル、特別な施設などには使
われている。
 絹は、繊維の中で最も上質で優雅な絹独特の光沢があり、張力と弾力に優れ、丈夫で長持
ちし、手触りが柔らかで、しわになりにくい。また、熱の伝導が低く保温性に富み、染色性は良
く、きれいな色に染まる。日光にはあまり強くない。

 

       
化学繊維
 
 化学繊維は再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機繊維に分類される。
1〕 再生繊椎
  セルロース系のレーヨン、キュプラ、リオセルが主なもので、植物体の中に含まれるセルロース
(繊維素)を化学的に溶解した後、凝固液中に押し出して繊維を取り出す。
 セルロース系再生繊維は、天然の植物繊維とおおむね同じ性質を持っている。綿や麻が濡れると
強度が増加するのに対し、再生繊維は濡れると強度が低下するが、ポリノジック(特種レーヨン)は改良
されて、湿潤時の強度に優れている。なお、キュプラはコットンリンターを主原料とした銅アンモニア
繊維で「ベンベルグ」と称されている。
 レーヨンには、長繊維である人絹と、紡績糸であるスフ糸の2タイプがあり、染色性、光沢に優れ、
合成繊維との混紡糸によって絹に近い感性からドレープカーテンに使われている。欠点はしわに
なりやすく、水に濡れると収縮が大きいなど寸法の安定性に欠けるので、樹脂加工、混紡糸などで欠点
をカバーしている。
2〕 半合成繊維
  酢酸セルロースの人造繊維をアセテートと呼び、原料が繊維素である点はセルロース系再生繊維
と変わりはないが、化学的に結合している点が違う。
 アセテートは、セルロース分子中の水酸基の代わりに、酢酸基を結合させたもので、一つの分子中
に合成物と天然物が存在している。
 アセテートの比重は羊毛や絹と同じ程度の軽さで、伸び縮みが少なく、濡れても乾きが早く絹糸に似た優雅な光沢があり、潮風、湿気、カビ、細菌によって品質が損なわれることはない。張力はレーヨンより
も弱く、染色堅牢度はあまり良くなく、防炎処理加工ができないなどの点から現在カーテンにはほとんど
使われていない。
3〕 合成繊維
 合成繊維は、石油、石炭、天然ガスなどを原料に、繊維を形成する糸状の高分子を人工的に作りその物質を用いて作られる。
 合成繊維は、摩擦や張り、強度があり、酸やアルカリなどの耐薬品性にも優れている。そのほか、バクテ
リア、かび、虫などの害をほとんど受けることがない。また、熱可塑性繊維のためプリーツ加工などにも適し、吸水性、吸湿性が小さいので耐洗濯性にも優れ、寸法の安定性も良く、しわになりにくい性質を持っている。吸湿性が小さいので、帯電しやすい点はあるが、帯電防止加工の研究もされている。カーテンには、ポリエ
ステル繊維をはじめ、アクリル、アクリル系などが主力繊維として使用されている。
 
ポリエステル繊維
   ボイル、レースカーテンの99%を占めるポリエステル繊維は、ドレープカーテンでも年々生産量
が上がり、現在カーテンの主力繊維になっている。
 ポリエステル繊維を作る(紡糸)には、石油の中に含まれるナフサを原料に、ポリマーを熱で溶
かし、液状にして細い孔から押し出して引っ張り、冷たい空気で冷やして糸にする。糸の断面形
状は丸い孔から出せば断面が丸い糸になり、孔の形によって三角やその他さまざまな断面形
状の糸を作ることができる。

 ポリエステル繊維の特徴---ポリエステル繊維が世界的な規模で、最も広く使われる合成
繊維になった理由は、次のように考えられる。
  1 風合いが天然繊維に近く、適当な張りと腰があり、綿や羊毛に似ている。また、長繊維は
絹の風合いに近く、繊維の太さや断面形状で変えることができ、さらに後加工でも調節できる。
  2 適当な強さ、伸び、しなやかさなど繊維として望ましい性質を持っている。また、しわになり
にくく、紫外線にさらされても繊維が弱くならない。
  3 熱セット性が良い。3大合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリル)の中で最も熱に強く、
長繊維のかさ高加工が容易にできる。また、熱セットに優れているため、プリーツ性が
良いという特徴がある。
  4 紡糸がしやすい。溶融紡糸で、普通の丸断面や異型断面によって極細繊維、複合繊維
など特殊形態の繊維を作りやすい。
  5 アルカリによって繊維の表面を処理することができる。織物や編物にして、苛性ソーダで
繊維の表面を少し溶かす(減量加工)と、繊維が細くなり、織物や編組織に空隙ができ
風合いが柔らかくなる。
  6 ポリエステル繊維は防炎後加工を施すことによって防炎「イ・ラベル」(水洗、ドライクリー
ニングとも防炎効果が変わらない)が可能である。
  7 100度以上で染色できるのはポリエステルだけで、ポリエステル染色の生産量の増加と
共に技術革新が進み、発色や堅牢度の問題も解決された。また、ペットボトルからの
再生糸も地球資源の面からも重要になってきている。

 

新合繊
 新合繊は、ポリエステル繊維の素材特徴を生かして開発された。
 ポリエステル繊維は数多くの特徴があり、合成繊維の中でも幅広く使われるようになった。
さらに、差別化を目指した技術開発が進み、新合繊と呼ばれる新しい性能、風合い、外観を
持ったポリエステル繊維が次々と開発された。これらの素材開発により、さまざまな風合いを
持つ生地ができている。例えば、桃の表面のような柔らかい感触の織物は天然繊維では出来
ないもののひとつ。
 この織物は、普通のポリエステルや絹の10分の1〜100分の1の細さのポリエステル繊維と、
普通の太さの高収縮ポリエステル繊維をミックスして織物を作り、染色加工の時に高収縮ポリ
エステルを熱で収縮させて中に入れ、表面に極細ポリエステル繊維を浮き上がらせ、表面を
加工して毛羽だたせてピーチスキンに似た感触の織物を作る。このほかに天然素材には無い
質感や風合いを加えた新合繊による織物が開発され、インテリア用途にも多くの新合繊の織物
が使用されている。
◇  アクリル繊維
 アクリル繊維は、アクリロニトリルの重合物を主成分とする合成繊維で、塩化ビニルメタクリル酸、酢酸ビニルなどとの共重合物質である。
 アクリル繊維の特徴は、羊毛に似た柔らかい感触、耐薬品性、耐候性、防虫性にも優れ、染色の発色性も良く、比較的しわになりにくく、寸法の安定性に優れているのでドレープカーテンに多く使われている。
 アクリル繊維糸(長繊維)は絹状光沢をもち、絹に似た強伸度特性を示す。ステーブル糸(短繊維
=紡績糸)は羊毛に似た感触、強度、伸度を持つ。
 一般のアクリル繊維は防炎加工が現時点ではできないが、原料に防炎溶剤を入れて難燃繊維にした繊維がある。
アクリル系
 アクリル系繊維はアクリルの原料であるポリアクリロニトリロにポリ塩化ビニルを50%以上ブレ
ンドした繊維で、難燃繊維である。ウールライクの特徴を持ち、高層建築、地下街、ホテル、
病院など防炎規制された場所のカーテンとして、ポリエステル繊維と共に数多く採用されている。
その他の繊維
1〕 ナイロン
 ナイロンは、摩擦に強く、屈曲強度、結節強度(結び目の引っ張り強度)も大きく、伸度、弾性にも優れた繊維であるが、白地のものは日光に当たると黄変し、ぜい化の性質があるので、シャワーカーテンには
使われるが、一般のカーテンにはほとんど使われていない。しかし、カーペットでは、商業施設をはじめ、最も多く使用されている合成繊維。
2〕 ビニロン
  ビニロンは、学生服、作業服、産業資材などに使われているが、染色性に難点があるため、カーテンには使用されていない。
3〕 ビニリデン(ポリ塩化ビニリデン系)
  難燃性繊維。一時ケースメントなどに使用されていたが、日光に当たると徐々に縮むことと、組織が
もろくなる性質があるため現在、カーテンにはほとんど使用されていない。
4〕 ポリ塩化ビニル
  石炭、石油を原料として作られた繊維で、アイロンやスチームの熱に弱く縮む性質がある。この性質
を利用してカーテンの緯糸として使用、織り上げた後、熱加工(整理時)して緯糸を縮め、柄を浮き出させた製品もあるが、アイロンが掛けられないため、現在ではカーテンにはほとんど使用されていない。
5〕 ポリプロピレン
  石油から作られるポリプロピレンは、合成繊維の中で最も比重の軽い(水に浮く)繊維で、耐薬品性、
弾性には優れているが、耐候性(日光)、染色性に問題があり、カーテンにはほとんど使用されていない。
6〕 無機繊維
  無機化合物を原料とした繊維で、金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維などがある。そのうち、カーテン
に使用されているのはガラス繊維。ガラス繊維は不燃繊維で、防炎規制された場所に使われるが、
摩擦と屈折に弱く、特殊な現場以外はあまり使われていない。
     
    インテリア用機能素材と加工技術  
  繊維は火によってほとんどが燃えるか、分解してしまう。全く変化しない繊維は、ガラス繊維やアス
ベスト、金属繊維といった無機繊維しかない。
 火災に対する安全性を確保するために、難燃性繊維や難燃加工が必要になってきた。難燃性繊維
には、難燃ポリエステル、アクリル系などがある。
 また、難燃後加工・防炎加工としては、ポリエステル繊維を使用した織物・編物に、防炎加工を施す
ことによって、難燃性繊維と同等の防炎ラベル[イ]レベルの効果が付与できる。防炎ラベル[イ]は水洗、
ドライクリーニングで洗濯しても防炎効果は変わらない。
意匠撚糸(ファンシーヤーン)の種類
  カーテンには、デザイン性、物性面をより生かす意匠撚糸、混紡糸が使われる。
1〕 意匠撚糸(ファンシーヤーン)
  意匠撚糸は「飾り撚糸」とも呼ばれ、織物や編物の材料として、デザインをより味わい深いものに
するために使われる。意匠撚糸の主なものには次のようなものがある。

2〕 混紡糸
  繊維の長所を生かし、欠点を他の繊維で補う混紡糸がある。代表的な混紡糸に、ワイシャツなど
に使われているTC混がある。TC混は、吸水性のないポリエステルと吸水性のある綿との混紡によって
作られ、肌触りの良いさわやかな生地ができる。また、混紡することによって、二浴染などの意匠性を
高めることもできる。
 カーテンでは、混紡糸使いのほかに、交織、交編がある。その例として、経糸はポリエステルで緯糸
はアクリル、経糸はポリエステルで緯糸は綿、経糸はレギュラーポリエステルで緯糸はカチオン可染
ポリエステル(後染によく使われる)などがある。