第8章 鍛帳 (どん帳)
  椴帳とは、舞台の最前列に吊され、舞台と観客席を仕切る幕などの総称。舞台上演の区切りや、舞台転換や大道具の飾り変えを観客席から見えないようにするための機能を持ち、同時に観客の目を楽しませ、休息感を与える装飾的な機能を兼ね備えている。大きな劇場では、椴帳を数枚備える所もある。 
1 椴帳の種類
1〕 綴織綴帳
  西陣織の代表的高級織物とされている綴織は、デザインの効果を意図通りに表現する精緻さは、他に例を見ない織物といえ、椴帳としても最高級品に属する。
 綴織の特徴は、織り幅・織り丈・模様の大小・組織の緻密さ・色数などを自由に選択でき、色彩の「ぼかし」を含めて絵画的に表現できる。
   必要な大きさの物が一枚絵のように製作できることから、綴織による鍛帳は最高の織物とされている。ただし、綴織は相当の厚地で硬くなるので、たたみ上げ鍛帳、引割り椴帳としては使用できない。
2〕 アップリケ級帳
  アップリケ鍛帳とは、基布上の絵柄に合わせ、各種の生地をカットし、張り付けた幕。張り付け方は、絵柄に従って切り取った生地の輪郭部分を裏に曲げ、糊付けした後、輪郭部を縫い止める方法が一般的。
  デザインの効果をあげるために、絵柄の生地の下に毛糸や綿などを入れて「肉持ち」させたり、さらに絵柄の周りをコードなどで「縁取り」したり、金・銀の「縫取り」を施す場合もある。 
3〕 フック綴帳
  基布にラグ(RUG=粗い糸)をフック(HOOK=カギ〉で刺し込み、パイルで模様を表す刺繍による製法で、このフック・ド・ラグは元来、敷物として用いられている。
  毛足の長短や色彩が交錯するトーンは、織物にはない柔らかいタッチを表わせ、抽象画・風景画などの表現に適し、椴帳の製法にも用いられている。
4〕 紋織(柄織)級帳
  1単位のパターン(柄)が横または縦・横方向に繰り返されるもので、一般的には椴帳用に製織された生地を幅はぎし、製作したものである。
5〕 無地綴帳
         
  風合いのある無地の生地で縫製する。特に引割り鍛帳の場合は、ひだを十分に取ることにより、照明の陰影により視覚的な変化が得られる。
  一般的に、学校講堂・公共施設には別珍またはアクリル系起毛無地織物などが用いられることが多い。
6〕 その他の級帳
  椴帳としての機能が備わり、演出上の不都合がなければ、繊維素材に限らず金属、ガラスなど、製造方法に特に制限はない。