3  椴帳の昇降・開閉方法と種類
  椴帳は、舞台の構造・デザイン・材質・使用方法などにより駆動方式が異なる。
代表的な方法に、とばし上げ・たたみ上げ・捲き上げ・絞り上げ・引き割り式などがある。椴帳を製作する場合は、舞台のフライズ(上部空間)・デザイン・材質・使用方法を充分に把握し、ふさわしいものを立案する。
         
1〕 とばし上げ式
          
  1枚の椴帳をそのままの姿で上部に引き上げる方式。この場合は、舞台のフライズは椴帳の高さと隠れ代および装置分の空間が必要となる。
 たたんだり、巻いたりしないため、鍛帳の材質・デザインなどの制約はない。劇場や大ホールなどに使用されることの多い本格的な方式。フライズに余裕のある舞台では舞台諸幕も、とばし上げてフライズに隠す。
          

 
     
2〕 たたみ上げ式
       建物の構造上、上フライズが足りない場合に鍛帳丈を3分割〜5分割に折りたたんで昇降する方式。
   折りたたみ数は椴帳の高さと一文字幕などでつくられる上部の隠れ代によって決まる。椴帳の高さ(丈)に対し、隠れ代の高さが充分にない場合は折りたたみ数が多くなる。下部からたたみ上げるため客席から折れ上るところが見える。折り目部分が傷みやすいので、折りたたみに適した生地を選ぶことが必要。
 
 
          

 
     
3〕 三段飛ばし上げ式
       客席から見ると昇降は「とばし上げ式」、または「たたみ上げ式」に似ているが、折りたたみ部分が、客席から見えないフライズの中で折りたたまれて上がる。折りたたみ部分にはパイプが取り付けられ、パイプにワイヤーは結ばれる。
   a・bパイプのワイヤーはカウンターウェイトと繋がれバランスがとられている。cパイプのワイヤーを引き上げるとa・bパイプの負荷が減りa・b・cは上昇する。(A図)
  さらにcパイプを引き上げると、bパイプが上昇し、幕上部が折れ上がる。(B図)cパイプを所定の位置まで引き上げると、全てが折りたたまれる。(C図)

 

 
          

 
     
4〕 捲上げ式
       椴帳を太いパイプ、または細いパイプを筒状に束ねたものに捲き付けて昇降する方式。
フライズに余裕がなく、綴帳が折り曲げられない場合に最適。ただし鍛帳の大きさや重量に制限があるので、間口の大きな舞台には適さない。椴帳の生地は、伸縮度が少なく、模様や織り方・縫製方法によって表面が凹凸にならないよう留意が必要。

 

 
         

 

 
     
5〕 絞上げ式
  一般的には、縦ひだを取った幕を、裏側の絞り上げる位置に"丸かん"を縫い付け、上から"丸かん"にワイヤーを通し裾を引き上げると、裾が弧を描いて絞り上がる昇降方式、
裾から均等に弧を描いて絞り上がる「定形絞り」と、裾が"やまがた"に絞り上がる2変形〜5変形等の「変形絞り」に大別される。
   横ひだをとった(オーストリアン式)幕は「定形絞り」が一般的。他の方式の椴帳よりひだを多く必要とする。絞り上げ幕の変形として、上手幕と下手幕を右斜め上方と左斜め上方に絞り上げるオペラカーテン(蝶開椴帳)がある。
          
          

 
6〕 引割式
       両開きカーテンのように椴帳を中央から左右に開く方式を引割式鍛帳という。
 客席から見て右側の幕を上手幕、左側の幕を下手幕と呼び、幕を閉めた時は上手幕が手前になるように1m〜2m(舞台の大きさを考慮)交差させる。