第6章  安全・衛生
 
建築現場において災害を予防するための安全管理があり、作業者の健康の保持を目的とした衛生管理がある。
 
(1) 安全管理
 作業場は常に整理・整頓をし、建築現場の安全規則を守り、常に快適な作業環境を確保しなければならない。
 そのため、選任された安全管理者がいるが、労働災害は何時、何処で起こるか予想もつかず、いわゆるヒヤリ、ハット、ホットの3Hは災害の前触れと言われ、生命、身体は自ら守らなければならず、周囲にも大きな迷惑をかけるので、各作業者は、細心の注意を心がけ、作業をしなければならない。
a 機工具の取り扱い
包丁、カッター、千枚通しなど鋭利な刃物類は鞘(さや)、または腰袋などに納め、直接ポケットなどに入れて歩かない。特にカッターの折り刃は一定の容器などに入れて不慮の災害を予防する。
トーチランプ、熱溶接機など火気を扱う機器類は、正規の使用法を厳守し、使用後は充分冷やしてから収納容器に納める。
服装
作業中の服装は、夏期においてもランニングシャツなどの袖なしではなく、身体にあった軽快なものを着用する。履物は草履、スリッパ及び作業靴のつっかけ履きなどは避け、安全靴、作業靴を履き、丈夫な敷き皮を入れ、逆さ釘などの踏み抜きの予防をする。
開口部
床面の開口部には、労働安全衛生規則第519条(以下安衛則と略す)で、事業主は、手すりの高さ90〜105cm、回りには足場板などを利用した幅木の囲いを設けることが規定されているが、万一設備のない場合は、監督者と協議の上、自ら安全措置を施し、安全を確保する。
揚重作業
材料の揚重作業で建築用リフトを使用する者は、安衛則による特別技能教育を受講修了したものでなければならない。(安衛則第39条)
e 保護帽
建築現場の作業では、必ず保護帽を着用し、あご紐は完全に締めておかなければならない。(安衛則第539条)
f 命綱
高さ2m以上での作業、開口部に囲いなどの設備がない場合には、命綱を使用しなければならない。(安衛則第518、519、520条〉
落下物
3m以上の高い窓などから廃材などを落とす場合は、投下設備を設けるか、監視人を配置して安全の対策をして行わなければならない。(安衛則第536条)
(2) 衛生管理
 建築現場において、作業員の健康障害を防止し、衛生のための教育の実施と健康診断の実施、その他の健康の保持増進のための対策を講じなければならない。
(3) 有機溶剤
 有機溶剤とは、常温、常湿で物を溶かす性質をもった有機化合物で、揮発しやすい性質がある。
a 火気
有機溶剤は、一般に揮発性が大きく、蒸気は空気より比重が重く、床面近くに滞留する。しかも引火性があるので、トーチランプ、コンセントの取り扱いには細心の注意をする。また、喫煙は必ず水を入れた喫煙具を備えた所定の場所で行う。(安衛則第291条)
毒性
有機溶剤は、作業中に皮膚に付着し炎症を起こしたり、皮膚、粘膜などを経て体内に入り神経や臓器などに障害を起こすことがある。有機溶剤中毒の応急処置は以下のようにする。
作業中ガスを吸入し、目まい、その他の気分が悪くなった時は、直ちに医師の手配をすると同時に、速やかに清浄な空気の場所に、静かに頭を低くして横向き、または仰向きに寝かせ身体を温める。また呼吸が停止している時は、人工呼吸を行う。
有機溶剤が眼に入った時は、水道で2〜3分間よく洗い、充血のある場合は、医師の治療を受ける。
有機溶剤の取り扱いに関する注意事項
窓のない部屋、換気の悪い地下室などで、溶剤形接着剤を使用する場合は、有機ガス用防毒マスクを着用し、必要に応じて換気装置の設置など、適切な処置をしなければならない。
(有機溶剤中毒予防規則第33条) 以下有機則と略す。
溶剤形接着剤は、消防法の規定する集積限度数量(1箇所に200g)以上、集積してはならない。
溶剤形接着剤の空容器には、底の隅に接着剤の残りが若干付いていることがあり、有機溶剤の揮発により、火災の原因となることがあるので、屋外の一定の安全な場所に集積しておく。
(有機則第36条)
有機溶剤は水より比重が軽いので、排水溝などに流し込むと水面に広がり、思わぬ場所で引火爆発することがあるので特に注意する。
溶剤形接着剤を使用する場合は、作業者の中から有機則で定められた、有機溶剤作業主任者を選任しなければならない。
(有機則第36条の2)
プラスチック系床仕上げ施工で使用する溶剤形接着剤は、主としてメタノール、トルエン、キシレンなど第2種有機溶剤であり、溶剤形接着剤を屋内作業で使用する場合は、有機溶剤の区分を色をもって見易い場所に表示しなければならない。
(有機則第25条)
1 第1種有機溶剤 ・・・・
2 第2種有機溶剤 ・・・・
3 第3種有機溶剤 ・・・・
(4) 電気の取り扱い
 電動溝切機、熱溶接機など電動機工具を使用する場合は、単相100V、三相200Vを確認してから作業にかかる。
 感電の危険がある場合は、アースを使用して作業にかかる。
(安衛則第333条〉