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インテリアの嗜好は人によって様々である。民族も同様で、お隣の国同士だから似ているに違いないと考えるのは早計である。その典型がベルギー人とオランダ人で、かつては同じ国であった。
だがインテリアに対する考え方は正反対、特にカーテンに関しては月とスッポンほど考え方が違う。これから述べるエピソードはカーテン売込みの際の肩の凝らない話題として役に立つのではないだろうか。
ベルギーとオランダが立地するエリアには、文豪ヴィクトル・ユゴーをして「素晴らしく大きい劇場」と感嘆せしめたグランプラス広場を市中心部に抱えるブリュッセル、童話「フランダースの犬」の主人公ネロが愛犬パトラッシュと最期を迎えたノートルダム大聖堂が聳え立つアントワープ、馬車の行き交う中世の街ブリュージュ、運河と煉瓦が象徴的なアムステルダム、フェルメールの「青いターバンの少女」を常設展示するマウリッツハイス美術館のあるハーグという具合に珠玉の都市が連なっている。
両国は気候や風土・植生が似ているだけに街や建物の雰囲気も酷似している。また顔つきや体型までもが似ていて日本人には容易に見分けられない。おそらく街の真中にタイムスリップしたならばベルギーかオランダかの区別もつかないはずだ。
ところが正確に区別する方法が一つある。何かというとカーテンに対する対応が大きく異なるので、それを判断根拠にすればよい。例えばベルギー人は欧州の殆どの人達がそうであるように窓辺をレースやドレープで飾り立てる。まさしくウインドウ・ファッションズだ。織物は伝統産業であるうえ、ボビン・レースの本場ブリュージュを抱えているだけに窓装飾の充実ぶりは他国の追従を許さない。
対照的にオランダはカーテンに対して淡白である。例えばレースとドレープの二重吊りの家を捜すのは至難である。
殆どの家はレースカーテンのみを吊っている。それどころかカーテンを一切使用せず内部丸見えの家も多い。オランダ人はカーテンを買えないほど貧困なのだろうか?
いやそんな事はない。何故ならオランダの個人所得は欧州諸国の中でも有数のうえ、EU本部に対して多額の分担金を拠出している。

カーテンに淡白な理由は宗教である。ベルギー国民の殆どがカトリック教徒であるのに対して、オランダはカルヴィン主義の流れを汲む敬虔なプロテスタントが多い。
この違いが随所に顕在化、インテリアの場合はカーテンに対する対応の違いとして表れる。具体的にはカトリック教徒が日曜礼拝へ行くのを唯一の義務と考えるのに対して、プロテスタントは生活全体をキリスト教の倫理観で律する傾向が強い。
したがってベルギー人が特産の地ビールを大いに飲み時々醜態を晒すぐらいに生活をエンジョイするのに対して、オランダ人は自己を律して生活の羽目を外すことは少ない。換言するとベルギー人が夜カーテンを閉めてプライバシーを大切にするのに対して、後者はカーテンを使わず生活をガラス張りにして神に恥じない生活を誇示するわけである。
もっとも日本と同様に両国も伝統的文化や価値観が崩れつつあるようだ。だが希薄になったとはいえ厳然と残っていることも事実である。「世界は一つ、金太郎飴」等と考えるべきではない。
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