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吸放湿の機能を持つ珪藻土
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「壁の仕上げにケイソウドが一番」という言葉を耳にする。
ケイソウドの漢字は「珪藻土」で、主に左官屋さんが取扱う「塗り壁」材料の一種である。注目される背景としては社会の自然志向と健康志向が大きい。最近では珪藻土を使った壁装材が人気となっている。
太古の昔、6500万年から200万年前の地球は地質学的に「第三紀」と呼ばれる時代であった。火山活動や造山活動が活発でアルプス・ヒマラヤの大山脈が形成され、日本列島の形が出来あがり、地上では哺乳(ほにゅう)動物・双子葉植物が栄えていた。珪藻土はこの時代に水中で群生していた植物性プランクトンの構成種である単細胞の珪藻類が海底や湖底に長年にわたって沈積して化石化した堆積土である。

珪藻土は人間の毛髪と同じ30~50ミクロン(※1ミクロン=1/1000ミリ)程度の粒子からなり、表面には無数の細かい孔(あな)があいている。このように多孔質(たこうしつ)構造のため表面積が大きく密度は小さい。多孔質物質は隙間容積の割合を示す孔隙率(こうげきりつ)で表示するが、岩石・鉱物としては水に浮かぶ軽石に次ぐ。ヤシガラ活性炭や木炭のように孔隙率の大きい多孔質物質という点は重要である。これは軽くて断熱性に富み、調湿・消臭等の機能面に優れていることを意味する。
さて珪藻土の世界的産地はアメリカ、ロシア、フランス、ルーマニアの4カ国で、世界生産量300万トンの約80%を占めている。特にアメリカは世界最大の生産国で、カリフォルニア州のサンタバーバラ北部には厚さ300メートルにもおよぶ珪藻土の地層が多数分布している。
一方、日本の生産量は年間約30万トン弱で世界生産量の約10%を占める。鉱床は全国に拡がっているが、生産実績があるのは秋田、宮城、石川、島根、岡山、大分、鹿児島の7県である。このうち日本海側の秋田、石川、島根は海成(海水)堆積層。対照的に太平洋側の宮城、岡山や九州地域は湖成(淡水)堆積層という特徴はあるが、物性面で大きな違いはない。しかし色は堆積する時に粘土、砂、火山灰、木の葉や貝殻等の不純物を含むため多種多様である。一般的に純粋なものほど白く、また地表に近い堆積層のものほど紫外線や雨等に曝(さら)されるため白色が多い。さて珪藻土の機能面を要約すると次の5点となる。
① スポンジのような多孔質構造のため軽い
② 融点の高い珪酸が主成分のため耐火性に富む
③ 空気層を多く含むため断熱性に富む
④ 微細な孔が汚れた粒子を濾過(ろか)して消臭に役立つ
⑤ 微細な孔が吸放湿作用で調湿の役割を果たす
良質の珪藻土は融点が1600度近くに達し、通常の耐火レンガと比べて数倍の性能を持つ。このため耐火性が要求される道具に使用するケースが多く、昔なつかしい七輪(しちりん)がその好例である。能登半島の輪島・珠洲(すず)地区では現在も家内工業で七輪を造っている。また濾過材としてはビール等の食品、ペニシリン等の医薬品の生産工程で採用され、さらに水泳プールでも除菌や除濁(じょだく)効果が評価され使われている。
このように断熱性に富み、消臭や調湿効果にも優れているので内装材に適している。しかし意匠として楽しむ分には問題ないのだが、調湿効果等の機能性を評価して採用する場合は幾つかのチェック項目がある。
まず機能性を追及するなら、化粧層の珪藻土を厚くして表面積を大きくしなければならない。すなわち珪藻土の体積を大きくするのである。また塗り壁の場合は固結剤としての樹脂が珪藻土の孔を塞さがないよう樹脂量を3%以下として、厚みは10ミリ以上を理想としている。
しかし重量が重くなると断裂等のクレームが生じる壁紙では<逆に使用量を制約せざるを得ない。おそらく添加量は化粧層の30%が限度であろう。これでは珪藻土の除菌・調湿効果を確保するには無理がある。もっとも究極の壁紙素材と評価の高い不織布「フリース」を裏打材に使った場合は、引張・引裂き強度が抜群に強いのでこの限りではない。但し現時点に限定するなら、珪藻土の機能性を誇大にPRするのではなく、あくまでも「珪藻土入りの壁紙」として意匠面を強調する程度に留めるべきである。もし機能面をPRする場合は試験デーテーの添付が必要なことは言うまでもない。
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