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植物文明と動物文明
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まず結論を先に述べると、植物文明国の代表は日本、動物文明国は欧州である。では両文明の違いを壁装材で比較しよう。いきなり驚かせて恐縮だが、我国で最初に壁紙にチャレンジしたのは平賀源内である。「天才山師」、あるいは「日本のダ・ヴィンチ」と言われるだけあって奇想天外な着想や種々多様の発明品には事欠かない。
壁紙に関しては金唐革紙(きんからかわし)なるものを試作している。開発のヒントは当時オランダから徳川幕府へ献上された金唐革(きんからかわ)である。バロック全盛の17世紀の欧州を席巻(せっけん)した壁装材で、一風変わった名前の由来は徳川幕府の生活をつづった『徳川実記』という古文書である。
日本で金唐革と呼ばれる壁装材は、英語でギルディッドレザー(※直訳:金箔を施した革)。表面は金箔のようで、当時は「唐」と呼ばれた欧州から伝わった革製の壁装材なので金唐革と名づけられた。とにかく「ザ・ゴージャス」という表現が相応しい。山師的性格の源内は、金唐革を模倣することで一攫千金を狙ったようだ。しかし注目すべきは、源内が「革」ではなく「和紙」に拘ったことである。当時は牛や馬も飼われていたので革の入手は可能であった。にもかかわらず源内は和紙を用いている。結果的に源内はチャレンジに失敗したが、彼の発想は明治政府が東京市ヶ谷にあった「紙幣寮(しへいりょう)」と呼ぶ官営工場で受け継ぎ、和紙を使って金唐革紙を完成させてしまう。明治時代は、この輸出で外貨を大いに稼いだそうだ。
衣服の繊維も同様である。例えば欧州人が愛用する繊維素材はウール。特に中世の時代、フランドル地方で織られた緋色(ひいろ)の毛織物は「スカーレット」と呼ばれ珍重された。
対照的に日本は麻と木綿に固執している。もちろん湿度が比較的高い日本では羊が爪先の病気、即ち羊諦病(ようていびょう)にかかって飼育が難しいという事情はある。加えて植物繊維の方が肌にさらっとして心地よい。こうした事情から木綿が好まれた。では屋内の床材はどうか。日本は稲ワラとイグサから作られた畳。一方、欧州はウールや獣毛(じゅうもう)を素材としたカーペットである。このような例は枚挙に暇がない。
現時点、このような観点からのインテリア文化論は確立されていないが、現代は「混迷の時代」と言われて久しいだけにチャレンジも必要である。

写真:ベルギーの裁判所の壁面に残る金唐革 |
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