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Ⅰ.「日本インテリア市場の現状と特徴」

 
Ⅰ-1 はじめに
 インテリアの領域は広い。家具や照明、寝具寝装、インテリア雑貨も含まれるが、広げると際限がない。そこで対象を日装連とも密接な関係にある社団法人日本インテリアファブリックス協会(※以下NIFと略)の会員企業が製造・販売しているインテリア商品に限定したい。具体的に何を指すかというとウインドートリートメント(窓装飾)、フロアカバリング(床材)、ウォールカバリング(壁装材)の3商品群である。
 窓装飾を意味するウインドートリートメントには、「カーテン」、「ブラインド類」、「スクリーン類」、「カーテンレール類」の4種類が含まれる。床材を総称するフロアカバリング商品群には「カーペット」と「プラスチック系床材」の2つが含まれる。最後のウォールカバリング商品群はビニル壁紙を主体とする壁紙群である。
 平成19年度の3商品群の市場規模はNIFの会員レベル(卸売ベース)で6,453億円であった。前年が6,667億円なので前年比3.2%減少した。

Ⅰ-2 ウィンドートリートメント市場
   ウインドートリートメントは洋式窓装飾を指す言葉なので和式の障子などは含まない。あくまでも明治維新以降に欧米から伝わって窓装飾の定番となったカーテン、ブラインド類、スクリーン類、カーテンレール類の4つである。
 19年度のウインドートリートメント商品群の卸売ベースでの販売金額は2,345億円であった。前年実績が2,417億円なので前年比3.0%減で、72億円減った計算になる。
 この2,345億円(構成比100%)の中で、カーテンは表1のように1,375億円(WT構成比58.7%)を占めている。内訳は国産が1,117億円、輸入が258億円で構成比は圧倒的に国産品が優勢である。また前年比でも、国産品の落込み率がマイナス3.4%であるのに対して、輸入品は7.2%落込んだ。
 
表1 カーテンの市場規模(卸売ベース)
(単位:億円、カッコ内は前年度比%)
  平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
総規模 1,433( 95.3) 1,463(102.1) 1,434( 98.0) 1,375( 95.9)
 ・国産品 1,194( 94.1) 1,207(101.1) 1,156( 95.8) 1,117( 96.6)
 ・輸入品 239(101.3) 256(107.1) 278(108.6) 258( 92.8)

 
表2 ブラインド類の市場規模(卸売ベース)
(単位:億円、カッコ内は前年度比%)
  平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
ブラインド計 312.0(104.0) 312.9(100.3) 324.5(103.7) 327.4(100.9)
 ・ベネシャン 257.2(102.4) 258.8(100.6) 260.6(100.7) 255.1( 97.9)
 ・バーチカル 54.8(111.8) 54.1( 98.7) 63.9(118.1) 72.3(113.1)

 
表3 スクリーン類の市場規模(卸売ベース)
(単位:億円、カッコ内は前年度比%)
  平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
スクリーン類合計 375.4(101.1) 375.9(100.1) 375.6( 99.9) 372.0( 99.0)
 ・ロールスクリーン 248.4(100.1) 236.8( 95.3) 2290( 96.7) 224.1( 97.9)
 ・ローマンシェード 83.2( 95.6) 90.8(109.1) 96.5(106.3) 96.2( 99.7)
 ・プリーツスクリーン 43.8(126.2) 48.3(110.3) 50.1(103.7) 51.7(103.2)

 
表4 カーテンレール類の市場規模(卸売ベース)
(単位:億円、カッコ内は前年度比%)
  平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
カーテンレール類計 281.2( 96.6) 274.3( 97.6) 283.1(103.2) 270.8( 95.7)
 ・カーテンレール 250.9( 97.9) 247.4( 98.6) 255.0(103.1) 244.7( 96.0)
  (機能レール) 185.7( 95.5) 179.1( 96.0) 186.5(100.4) 180.2(100.6)
  (装飾レール) 65.1(105.2) 75.9(124.6) 60.9( 93.5) 64.5( 85.0)
 ・用   品 19.9( 92.6) 18.4( 92.4) 19.5(106.0) 19.3( 99.0)
 ・そ の 他 10.4( 79.4) 8.6( 82.3) 8.6(100.0) 6.8( 79.1)

   次にブラインド類は表2のように327.4億円(※WT構成比は14.0%)、スクリーン類は表3のように372.0億円(※WT構成比は15.9%)、カーテンレール類は表4のように270.8億円(※WT構成比は11.6%)である。
 このようにウインドートリートメント商品群としては前年比3.0%減であったが、個々の商品別にはカーテン類が4.1%減、ブラインドが0.9%増、スクリーン類が1.0%減、カーテンレール類が4.3%減という具合に格差が出ている。
 19年度に関しては、カーテンとスクリーン類、カーテンレールの3つが減り、対照的にブラインド類だけが増えた。但しカーテンとカーテンレールの落込み率が4%以上であったのに対して、スクリーン類は1%。これは外見が洋風住宅の増加に伴い小型縦長窓が増えているためである。小型縦長窓にカーテンは似合わない。フィットするのはブラインドとロールスクリーンである。この傾向は今後も続くことが予想されるだけに、カーテンとカーテンレールは余程の挽回策を講じない限りは、苦戦が続くものと思われる。

Ⅰ-3 フロアカバリング市場
   フロアカバリングにはカーペットとプラスチック系床材の2つが含まれる。まずカーペットであるが、19年度の市場規模は表5のように2,327億円で、前年比1.9%の減少となった。
 内訳は国産が1,194億円で、前年比2.7%減、輸入が1,133億円で前年比1.0%減である。
 
表5 カーペットの市場規模(卸売ベース)
(単位:億円、カッコ内は前年度比%)
  平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
総規模 2,223(103.4) 2,305(103.7) 2,372(102.9) 2,327( 98.1)
 ・国産品 1,162( 99.8) 1,187(102.2) 1,227(103.4) 1,194( 99.0)
 ・輸入品 1,061(107.6) 1,118(105.4) 1,145(102.4) 1,133( 99.0)

   品種別は表6を参照していただきたい。18年度まではタイルCPが牽引役となってタフテッドカーペットが順調に伸びだか、19年度はタイルCPも息切れしてマイナスになってしまった。ニードルパンチも厳しい状況下、着実に伸びているが、車両用に負うところが大きい。残念ながら建築用途は年々減っている。
 将来の見通しであるが、車両用は世界的な大不況の影響で減ることはあっても増えることはない。したがって全体を伸ばすには、家庭向けのタイルCPを充実させ底上げする以外に決定的な方策はないと思われる。
 
表6 国産カーペットの市場規模(卸売ベース)
(単位:億円、カッコ内は前年度比%)
  平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
合  計 1,162( 99.8) 1,187(102.2) 1,227(103.4) 1,194( 97.3)
 ・タフテッド 618( 97.8) 631(102.1) 656(104.4) 644( 98.2)
  (普 通) 537( 97.6) 571(104.2) 548(102.0) 558( 97.7)
  (車両用) 81( 98.8) 85(102.4) 83(102.5) 86(101.2)
 ・タフテッドタイル 321(103.2) 330(102.8) 337(102.7) 324( 96.1)
 ・織じゅうたん 59(101.7) 60(101.7) 61(101.7) 59( 96.7)
 ・平 織 8(100.0) 8(100.0) 8(100.0) 7( 87.5)
 ・フックドラグ 49(102.1) 50(102.0) 52(104.0) 48( 92.3)
 ・ニードルパンチ 101(100.0) 102(101.0) 106(103.9) 106(100.0)
  (普 通) 24( 96.0) 22( 95.7) 23( 95.8) 21( 95.5)
  (車両用) 77(101.3) 84(106.3) 79(102.6) 85(101.2)
 ・その他 6(100.0) 6(100.0) 7(116.7) 6( 85.7)

 さてプラスチック系床材にも簡単に触れておこう。用途は殆どがオフィスや商業施設などの業務用で、唯一クッションフロアが家庭の洗面場などの水回り部分で使われるだけである。
 プラスチック系床材を形状で大別すると表7のようにタイルとシートに分類できる。タイルには炭酸カルシウム等の充填材(じゅうてんざい)を加えた半硬質タイプの汎用品が主体の「コンポジションタイル」。店舗や商業施設向けの軟質タイプや帯電防止性能を付与したタイプを含む「その他のコンポジションタイル」。ビニル樹脂や可塑剤(かそざい)等のバインダーが30%以上含まれる「ホモジニアスタイル」の3種類がある。

 一方、シートは5種類に分類されているがインレイドシート以外は分かり易いので説明を割愛する。インレイドシートとは象嵌(ぞうがん)技法で製造したシート。ラミネート(積層)技法とは違い、着色したチップ状の塩ビの塊(かたまり)を模様に沿って並べプレスしているため模様が上から下まで貫徹(スルーチップ)しているのが特徴である。

 さて19年度は防滑性シートだけが伸びた。伸びた理由はヘアクラック対策である。3年前の耐震偽装問題は「ヘアクラック」という予想しなかった問題が顕在化した。建築業界では巾0.3ミリ以下のクラックを「ヘアクラック」と呼んでいるが、コンクリートやモルタル床には必然的に伴う。従来は設計士等の専門家が「強度的に問題はない」と説明すればマンションを購入したユーザーは納得して引き下がった。しかし耐震偽装が社会問題化した以降は簡単に納得せず、むしろ説明すればするほど不信感を募らせるだけである。そこでディベロッパーやゼネコンは、マンションの共有部分やベランダに防滑性シートを貼ることでヘアクラックが見えないように配慮した。一見、姑息な隠蔽工作のように見えるが、現時点ではヘアクラックを完全に防止する技術がなく、同時に耐震上も問題がないだけに緊急避難的な止むを得ない措置と思われる。
 
表7 プラスチック系床材の市場規模(卸売ベース)
(単位:億円、カッコ内は前年度比%)
  平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
合  計 737( 98.4) 738(100.2) 769(104.2) 721( 93.7)


コンポジションタイル 35( 92.1) 31( 96.9) 32( 91.1) 29( 93.5)
その他コンポジション 56(100.0) 50( 86.2) 58(103.6) 40( 80.0)
ホモジニアスタイル 114( 98.3) 111( 98.2) 113( 99.4) 104( 93.7)


一般ビニル床シート 103( 95.4) 96( 88.8) 108(104.7) 91( 94.8)
防滑性ビニル床シート 91( 98.9) 111(114.4) 97(105.8) 114(102.7)
クッションフロア 214( 98.6) 214(109.2) 196( 91.8) 205( 95.8)
インレイドシート 15( 83.3) 13(100.0) 13( 87.1) 10( 76.9)
その他塩ビシート 108(103.8) 143(118.9) 121(112.0) 128( 89.5)


Ⅰ-4 ウォールカバリング市場
   日本はドイツと並んで世界でも屈指の壁紙大国である。
 平成19年度の壁紙の市場規模は表8のように前年度比4.4%減の1,059.6億円であった。金額的にはNIFが集計している3つの商品群の中で最も小さい。しかし壁紙は金額が小さくても数量が大きい。例えば平成19年度の出荷量は7億825万㎡で、ウインドートリートメントの推定1億7千万㎡やフロアカバリングの推定2億1千万㎡を大きく引き離している。
 同時に留意すべきは壁紙には必ず施工が伴う事である。その結果、インテリア内装店が材工共で契約する金額は推定7千億円に達し、3つの商品群の中では最大となっている。
 
表8 壁紙の市場規模(卸売ベース)
(単位:億円、カッコ内は前年度比%)
  平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
総規模 1,132.5(101.0) 1,137.7(100.3) 1,108.9( 97.6) 1,059.6( 95.6)
 ・国産品 1,125.2(100.9) 1,128.7(100.3) 1,100.4( 97.5) 1,050.8( 95.5)
 ・輸入品 7.3(100.6) 7.0( 95.9) 8.5(121.4) 8.8(103.5)

 
表9 壁紙の市場規模(種類別の卸売ベース、金額)
(単位:億円、カッコ内は前年度比%)
  平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
合  計 1,132.5(101.0) 1,135.7(100.3) 1,108.9( 97.6) 1,059.6( 95.6)
 ・純系壁紙 29.2( 84.6) 26.6( 91.0) 20.9( 78.6) 20.1( 96.2)
 ・繊維系壁紙 24.9( 89.5) 23.4( 93.9) 23.7(101.3) 21.7( 91.6)
 ・塩ビ系壁紙 927.2(102.5) 948.4(102.3) 953.2(100.5) 920.2( 96.5)
 ・プラスチック系 83.2( 96.1) 77.2( 92.7) 70.7( 91.6) 64.5( 91.2)
 ・無機質系壁紙 55.4(100.7) 50.2( 90.7) 30.1( 60.0) 22.4( 74.4)
 ・その他の壁紙 12.6( 95.4) 9.9( 78.6) 10.3(104.0) 10.7(103.9)

 さて日本の壁紙には際立った特徴が4点ある。1点目は輸入品が極めて少ない。したがって海外からは輸入障壁が存在するという指摘がある。2点目は表9が示すように塩化ビニル樹脂系壁紙の構成比が圧倒的に高い。3点目は規格巾が世界標準の54㎝ではなく91㎝。4点目はオフホワイトやベージュ系の無地が出荷の大部分を占めている。
 これは壁紙がインテリアではなく建築資材として扱われていることを意味する。その結果、量販ビニルと呼ばれる低コストの壁紙が急増し、数量的には市場全体の約7割を占めるに至っている。当然、コストを下げるためには少品種大量生産をする必要から、各社とも量販ビニルの収録点数を65アイテムに絞り込んでいる。また色柄も各社酷似しているので必然的に価格で競争せざるを得ない。この蟻地獄のような現状から一刻も早く抜け出さないと業界は疲弊するばかりである。

 さて今後は市場縮小が予想される。したがって早急に新築需要ではなくリフォーム需要へシフトしなければならない。その点では約5年前からドイツを中心に急拡大している究極の壁紙素材「フリース(不織布)」が日本の壁紙業界に旋風を巻き起こす可能性がある。動向を注視する必要があるだろう。