| 対策1:換気により屋外へ排出
■窓を全開しての換気
日常生活で簡単に出来るホルムアルデヒド排除法は窓を全開しての換気である。この窓を全開しての換気はホルムアルデヒド対策という点で最も効果が高い。ただし実施する際に留意することは反対側の窓も開けて風の流れを作ることである。更にはホルムアルデヒドが充満しやすいクローゼットや押入れ等の扉も一緒に開放しなければならない。なぜならクローゼットや押入れ等の場所こそホルムアルデヒドが放散して滞留しがちだ。とにかくホルムアルデヒド特有の刺激臭がなくなるまで辛抱強く継続することが必要である。
■換気装置による強制換気
最近の戸建住宅やマンションは換気装置の設置が法律で義務付けられている。具体的には建築基準法で一時間当たりの換気回数が0.5回以上の機械換気設備の設置が義務づけられた。換気という点では窓の全開が最も効果的だが、夏や冬、横殴りの雨の日等は窓を全開するわけにはいかない。そこで機械換気設備の出番となる。是非、強制換気を実施していただきたい。
■ベイクアウトによる強制排除
ホルムアルデヒド対処療法としてベイクアウトという手法もある。ベイクアウトとは暖房器具を使って部屋の温度を上げ、ホルムアルデヒドを意識的に放散させた後、頃合を見計らって窓を全開して換気を行うことである。残念ながら、どのタイプの暖房器具を使い、どのくらいの温度で何時間ぐらい暖房すれば良いかという具体的条件を提示できないため説得力に欠けるが、温度が上昇するとメチロール基が分解するというホルムアルデヒドの性質からしても効果大であることは間違いない。但し新築直後にベイクアウトを実施すると、じゅらく壁や珪藻土に代表される湿式壁にクラックが生じる危険性がある。また水分を含んだ木材も湿式壁と同じように急激に温度を上げると歪む危険性があるのでは禁物だ。やはり信頼の置ける専門家に相談すべきであろう。
■エアコンの温度を下げる
ホルムアルデヒドは温度や湿度が高くなると放散量が増え、逆に下がると放散量も減る。したがって部屋のエアコンで室温を下げることも対策の一つである。但し一時しのぎであることを忘れるべきではない。
対策2:水や多孔質物質へ吸着させる
■空気清浄器による吸着
空気清浄機による化学物質の吸着・分解も効果的である。吸着方式の場合はフィルターにコーティングしてあるゼオライトやココヤシの殻を焼いた活性炭等の多孔質物質がホルムアルデヒドを吸着してしまう。なおこの場合はフィルターの清掃や交換をマニュアルにしたがって実施することが必要である。また最近の空気清浄機の高級機種にはフィルターに酸化チタンをコーティングして、スイッチオンにすると内臓のブラックライトがフィルターを照射して光触媒効果でホルムアルデヒドを分解するタイプも登場している。但し機種選択の際には具体的な性能を確認すべきである。
■活性炭消臭剤による吸着
市販の消臭剤にはヤシ殻活性炭等の多孔質物質が容器に詰められている。物質の表面に超微細な穴の開いた多孔質物質はその孔でホルムアルデヒドをキャッチする。但し吸収量には限界があるため、注意書に基づく一定サイクルでの交換が必要である。
■水を入れた容器や観葉植物を室内に置く
ホルムアルデヒドは水に溶けやすい性質があるので、水を入れた容器を部屋の隅々に置いて吸着させる。またゴールデンポトスやバナナ(芭蕉)の木を室内に置くことも効果的である。アメリカ航空宇宙局(NASA)の実験によると両植物のホルムアルデヒド吸収能力は他の植物と比べて優れているという。ただし室内に水を入れた容器を置く方法は湿度を高めるためカビや結露対策という点では難点を伴い、さらにはつまずいて容器の水をこぼす不具合もあるので積極的にはお勧めできない。
対策3:化学結合させる
■尿素(ユリア)水溶液を含ませた雑巾で吸着
メチロール基が分解する過程で離脱するホルムアルデヒドを尿素(ユリア)によって再び化学結合させようというものである。具体的には薬局で購入可能な尿素を20%程度の水溶液にしてタオルや雑巾に含ませ、ホルムアルデヒドが発生していると思われる建材の表面を拭いて吸着させる。理屈としては確かにそのとおりだが、データーないため説得性に欠ける。ベイクアウトと同様に話題として留めた方が賢明かもしれない。
■キャッチペーパー等で吸着
ホルムアルデヒド吸着をうたい文句とする化粧紙やカーペット、壁紙が各社より発売されている。カタログ等での表現は微妙に異なるが、化学的には有機窒素化合物を使ってホルムアルデヒドを安全性の確認された物質であるヒドラゾン化する方法である。ヒドラゾンはメチロール基と異なり再びホルムアルデヒドを放散させることは殆どない。
対策4:化学分解させる
■光触媒酸化チタンで分解する
酸化チタンに波長380ナノメートル以下の光を当てると電子が動き電流が生じで光触媒反応が発生する。反応は3万度以上の燃焼反応に相当し、強い還元力と酸化力を持つと言われている。この還元力と酸化力によってホルムアルデヒド等の有機物を分解する仕組みである。また光触媒反応は通常の燃焼反応とは違い、温度が上昇せず室温の状態で反応が進むのが特徴。また通常の燃焼反応はいったん火がつくと燃え尽きるまで続くが、光触媒反応では光が当たる時に光の量しか反応が起こらないという特徴を持っている。
光触媒は触媒として半導体を使うが、殆どの半導体は水に入れて光を照射すると光溶解反応で溶けてしまう。しかし酸化チタンは光溶融を起こさず、おまけに安価で耐久性にも富むため光触媒の半導体として利用されるようになった背景がある。
光というと雨あがりの虹を連想する人が多い。虹ように眼に見えるのは可視光線である。可視光線の波長は個人差があるものの大体380~780ナノメートルの範囲内に収まっている。ところで光線だが電磁波の一種である以上は空間を波のように波動運動しながら伝わっていく。当然、波であるからには波長と振幅があり、波長は長い方から短い方へ電波⇒マイクロ波⇒遠赤外線⇒赤外線⇒可視光線⇒紫外線⇒X線⇒ガンマ線という順になる。一般的に光と表現する場合は赤外線、可視光線、紫外線の3つを指す場合が多い。
さて光触媒反応に利用できる紫外線は太陽光全体の約3%を占めている。したがって太陽光をフルに受ける外壁タイルや窓辺で使うブラインド等は光触媒反応という点では問題が殆どない。しかし室内で使う商品の場合は太陽光が十分に届かず、さらには日本の室内照明の主流である蛍光灯が紫外線を殆ど含んでいないため効果という点では課題を残す。またアルミなどの無機質素材を使ったブラインドは「問題ない」と説明したが、厳密に表現すると横型ブラインドの「羽」と称する部分に付着する汚れは殆どが塵や埃などの無機質系のものばかりなので分解する効果は大幅に制約されてしまう。
このように一長一短があるとはいえホルムアルデヒド対策には様々な方法がある。また最近は幾つかの方法を組み合わせたハイブリッド型商品も多数登場している。しかし仔細にチェックするとアイディア倒れの珍妙と思われる商品も含まれる。もっとも科学は日進月歩、少ない紫外線でも光触媒作用を発揮する画期的触媒や最新技術が開発される可能性はある。これが画期的触媒なのかどうかは分からないが、最近「暗所触媒」をセールスポイントにしたカーテンも登場した。ならば尚更のこと詳細なデーターを公表して頂きたい。ホルムアルデヒド対策の結論としてはデーターを慎重に確認することに尽きる。
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